失業保険の自己都合退職と会社都合退職について、詳しく知りたい
何か気を付けることはないかな…
こんな疑問にお答えします。
この記事でわかること
- 自己都合退職と会社都合退職の失業保険をもらえる条件、期間、金額の違い
- 自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリット
この記事を書く私は、実際に失業保険をもらった経験から、損しないための失業保険のもらい方を熟知しています。
失業保険は自己都合退職と会社都合退職でもらえる期間や金額が大きく異なります。
また、自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
失業者の区分について
会社を退職した際の離職理由は「自己都合退職」「会社都合退職」のどちらかです。
そして会社を退職した失業者は、以下4つに区分されます。
- 一般離職者
- 特定受給資格者
- 特定理由離職者:雇い止めの場合
- 特定理由離職者:正当な理由による自己都合の場合
順番に解説します。
一般離職者
「一般離職者」とは、自分の意思で会社を退職された方をいいます。
具体例として、転職や家族の介護、看護などがあり、多くの方が一般離職者扱いとなるでしょう。
離職理由としては「自己都合退職者」に分類されます。
特定受給資格者
会社の倒産・解雇等の理由により、再就職の準備をする時間がなく離職した者は、「特定受給資格者」となります。
以下が特定受給資格者の対象者です。
倒産などが理由の場合
・会社が倒産した
・会社から大量に離職者がでた
・事業所が廃止になった
・事業所が移転し、通勤が困難になった
解雇などが理由の場合
・重大な理由以外で解雇された
・労働条件が契約と大きく違う
・賃金の1/3以上が期日までに支払われなかった
・賃金が85%未満に低下した
・残業時間が3か月連続で45時間、1か月で100時間、2~6か月以上の平均が月80時間を超えた
・職種転換に伴い、日常生活の配慮がされなかった
・3年以上の有期労働契約が更新されなかった
・更新されるはずの有期労働契約が更新されなかった
・セクハラ・パワハラをうけた
・退職勧奨をうけた
・事業者による休業が3か月続いた
・事業者が法令に違反していた
出典:厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
上記に該当する方の離職理由は「会社都合退職」となり、自らの意思ではなく仕事を失ったことから「自己都合退職者」と比べると失業保険が手厚くもらえます。
特定理由離職者:雇い止めの場合
一定期間の労働契約が終了し、契約更新を希望したが打ち切られた(雇い止め)の場合は、「特定理由離職者」となります。
契約社員のように3か月や6か月契約などで働いている方が対象となるでしょう。
雇い止めの離職理由は「会社都合退職」となり、上述した特定受給資格者と同じく手厚い失業保険をもらえます。
特定理由離職者:正当な理由による自己都合の場合
自己都合退職ではあるけれど、やむを得ない理由で退職された方も「特定理由離職者」に分類されます。
やむを得ない理由とは
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力・聴力の減退
- 妊娠、出産、育児により離職し、受給期間延長措置をうけた
- 家族の看護、介護など、家庭事情が急変した
- 別居生活(単身赴任など)を続けることが困難になった
- 結婚、育児、事業所の移転などにより、通勤が困難になった
- 希望退職者の募集に応じた
上記の場合の離職理由は「自己都合退職」となりますが、2~3か月の給付制限期間を待たなくても失業保険をもらうことができます。
自己都合退職と会社都合退職の違いは?
自己都合退職と会社都合退職では失業保険の
- 支給条件
- 支給期間
- 支給金額
がそれぞれ違います。
以下でわかりやすく解説していきます。
支給条件の違い
失業保険をもらえる条件は、自己都合退職と会社都合退職で異なります。
退職前2年間の雇用保険加入期間のうち、賃金支払い日数が11日以上ある月が12か月以上あること
退職前1年間の雇用保険加入期間のうち、賃金支払い日数が11日以上ある月が6か月以上あること
会社を辞める前に自己都合退職の場合は1年間。会社都合退職の場合は6か月間仕事をしていた方は、失業保険をもらえる対象者です。
支給期間の違い
失業保険をもらえる期間は、自己都合退職と会社都合退職で違いがあります。
自己都合退職の場合は、90日~150日。会社都合退職は90日~330日が一般的です。
失業保険をもらえる期間は、自己都合退職、会社都合退職ともに雇用保険に加入していた期間や年齢によって変わります。
支給金額の違い
失業保険をもらえる金額にも、自己都合退職と会社都合退職で違いがあります。
基本的には会社を辞める直前6か月間の給与を基に算定され、年齢や加入期間によっても変わります。
もらえる金額の目安としては、1か月の給与50%~80%前後くらいです。
失業保険をもらえる期間や金額についての詳細は、下記の記事を参考にしてください。
自己都合退職のメリット・デメリット
自己都合退職のメリット・デメリットは下記です。
自己都合退職のメリット
自己都合退職の場合の退職理由は「一身上の都合」が一般的です。
そのため、転職するにも自己成長によるチャレンジ精神や新たなスキル向上に前向き、と判断することができる点がメリットといえるでしょう。
自己都合退職のデメリット
自己都合退職のデメリットは、失業保険をもらうまでに2~3か月間の「給付制限」があります。
また、会社都合退職と比較するともらえる金額が少なく、給付期間も短くなります。
退職金を支給している企業においては、自己都合退職の場合、会社都合退職よりも減額されるケースがほとんどでしょう。私の場合ですが、16年間働いた会社の退職金は満額の50%支給でした。
詳細は、就業規則を確認するようにしてください。
会社都合退職のメリット・デメリット
会社都合退職のメリット・デメリットは下記です。
会社都合退職のメリット
失業保険をすぐもらうことができるのが会社都合退職のメリットです。
自己都合退職では、2~3か月の「給付制限」がありますが、会社都合退職では「給付制限」期間がありません。
詳細は、最低7日間の待機期間と失業認定等で1か月くらいかかりますが、自己都合退職と比べると早くもらえる点はいいですね。
また、会社都合退職の場合は失業保険をもらえる金額が多く、期間も最大330日と長いことがメリットです。
失業保険をもらえる期間や金額についての詳細は、下記の記事を参考にしてください
会社都合退職のデメリット
会社都合退職のデメリットとして、転職活動において質問される事項が増える可能性がある、という点があげられます。
履歴書等で、会社都合による退職と記載があった場合、面接で質問される可能性があります。
会社が倒産したとかの理由では追求はされませんが、「解雇」の場合はその理由を深く聞かれることが多いでしょう。
なぜなら、大きな問題を起こしていたり業績が極端に悪かったりなど疑われる場合があるからです。
会社都合退職はとらえ方によって悪い印象をもつことも考えられるので、転職活動をする際は入念な準備をする必要があるでしょう。
会社が会社都合退職にしたくない理由
会社側は、会社都合退職によって辞めてほしくありません。なぜなら、国が支援してくれる助成金が関係しているからです。
助成金とは、厚生労働省が企業に支給している支援金のことです。
ですが助成金は、すべての企業で貰える訳ではありません。中小企業や個人事業主のような会社を運営していくうえで大変な企業に国が支援してくれるものです。
出典:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金|厚生労働省」
助成金をもらうにはいくつか条件があり、その条件の1つに6ヶ月以内に会社都合退職をした人がいないことがあります。
そのため、会社側は辞めるのであれば自己都合退職を理由に辞めてほしいわけですね。
Q&A
- 自己都合か会社都合は誰が決める?
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自己都合退職か会社都合退職かの最終判断は、ハローワークが行います
ですから、会社から受け取った離職票の離職理由が一身上の都合(自己都合)に異議がある場合は、事実が証明できる書類などがあれば会社都合にできる場合もあります。
ブラック会社等で退職6か月前の残業時間が3か月連続で45時間、1か月で100時間、2~6か月以上の平均が月80時間などの方は事実が証明できるものを残しておくことをオススメします。
また、トラブルを避けるためにも、会社側と離職理由について確認しておくことが重要です。