「施工管理はやめとけ」はもう古い!?今後の働き方や将来性を徹底解説

施工管理はやめとけの理由は?
施工管理を経験した人の意見がききたい

こんな疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 施工管理がやめとけと言われる理由
  • 施工管理の将来性と魅力
  • 施工管理の意外と楽な瞬間
  • 施工管理のリスクや注意点

この記事を書く私は、施工管理歴16年で現在はフリーランスとして活動中です。

結論「施工管理はやめとけ」の意見にも一理あります。というのも、施工管理の働き方が合わない人がたくさんいることも事実だからですね。

とはいえ、施工管理がめちゃくちゃ好きな人もいますし、長い年月を費やして仕上げた建設物をみたら「仕事しててよかった」と思えるような瞬間もあります。

今回は、「施工管理はやめとけ」と言われる理由を解説します。また、きつい場面や意外と楽だなと感じた瞬間や今後の働き方まで紹介していきますね。

目次

施工管理はやめとけと言われる理由

「施工管理はやめとけ」と言われる理由を紹介します。

・長時間労働で残業も多いから
・休日出勤する場合があるから
・仕事内容と給料が割に合わないから
・労働環境がきついから

こういったことが考えられます。

長時間労働で残業も多いから

施工管理は他職種と比べて長時間労働であることは事実です。なぜなら、朝から夕方まで現場監督した後に事務所に戻ってからのデスクワークもあるからですね。。

出典:厚生労働省「最近の建設業を巡る状況について」よりtugoが加工

令和3年度調査で建設業の年間実労働時間は調査産業計の1632時間に対し、1978時間と長い傾向です。

近年、建設業界の労働時間は短くなってきてはいるものの、他職種よりも年間で346時間も長い労働時間。

上記は建設業全体のデータですが、建設業は業種で分けると29業種もあります。

その中には、土木や建築、電気、管などがあり、さらに各業種毎に設計部門や施工管理部門など多くの専門分野にわかれています。

そして施工管理に限定すると、労働時間は建設業全体のデータよりもさらにながいと予想されます。理由は、上述したように現場作業が終わってもすぐには帰れないからですね。

出典:日建協「2021 時短アンケートの概要

これは日建協が建設産業で働く組合員数 38,000 人中の約 10,000 人を対象に労働時間に関する調査結果です。

月の時間外労働は、2021年でみると全体の平均は42.9時間。しかし外勤建築は60.9 時間外勤土木は56.4時間です。

全体平均42.9時間にも驚きですが、外勤で働く方はさらに労働時間がながいことがわかります。

以上のことから、建設業は全産業に比べて長時間労働です。そして施工管理に限っては、建設業の中でも上位の長時間労働であることがわかります。

休日出勤する場合があるから

施工管理の仕事は、休日出勤が必要な場合もあります。

なぜなら、工期が短い工事や緊急の対応が必要な場合があるからです。

また、悪天候で作業できず工程に遅れが生じた場合は、どこかで取り戻さなければなりません。

出典:日建協「2021 時短アンケートの概要

上記も日建協による調査結果ですが、2021年11月の休日は10日ありました。そのうち、実際に休めた日数平均は全体で8.8日。内勤9.6日、外勤8.0日でした。

内勤はほぼカレンダーどおりに休日を取得できているのに対し、外勤は土曜日と祝日の休日取得が少なく、2日ほど休日出勤をしています。

以上のことから、工程調整や緊急を要する場合は休日出勤することもあり、やめとけと言われる理由の1つでしょう。

仕事内容と給料が割に合わないから

施工管理は仕事内容と給料が割りにあわないと感じる人もいるでしょう。

その理由は、

・責任が重い仕事であること
・サービス残業もあること

以上の理由ではないでしょうか。

出典:日建協「2021 時短アンケートの概要

上記のグラフをみると、実際の残業時間と会社に報告した残業時間にズレがある方が全体で29.6%。しかもその割合は、残業時間が長くなるにつれ高くなっています。

100時間以上残業している人は、40時間以上も乖離している方が73.5%もいます。

つまり、実際は140時間以上残業している月もあるということですね。

それに加え、施工管理の仕事内容は責任が重く、プレッシャーのかかる仕事ばかり。

こういったことが、仕事内容と給料が割に合わなくやめとけと言われる理由ではないでしょうか。

労働環境がきついから

工事現場での施工管理の仕事は、現場の指揮をとり工事現場全体を監督することです。ですが監督業務だけでなく肉体労働をする場面もあります。

肉体労働する場面は

・工具や資材の運搬。
・職人のちょっとした補助。

などですね。

ずっと肉体労働しているわけではありませんが、職人の手伝いで力を必要とする場面はあるでしょう。

また、工事現場では休憩時間以外は基本的に立っているので、肉体的にも負担があります。

なお、施工管理の立場を利用して何も手伝わなかったりすると、職人から嫌われるので注意しましょう。

そして日中、屋外で監督業務をしたあとは事務所に戻ってデスクワークです。

デスクワークの主な仕事は、発注者に提出する書類や保安に関する書類を作成します。

また、現場で足りない資材があった場合は資材発注書を作成し、発注手配もしなければなりません。

以上のことから、施工管理の仕事は現場での肉体労働と事務所のデスクワークをこなす必要があり、「やめとけ」と言われる理由の1つです。

施工管理はやめとけと言われない将来性と魅力

施工管理はブラックだからやめとけと言われる一方で、将来性があり魅力のある仕事だと言う人もいます。

なぜかというと、チームが一丸となって同じ目的に向かっていくことから、達成感を感じる仕事だからです。

施工管理の仕事は、チームをまとめるリーダー的存在です。仕事が無事終わった時は、チームの誰よりも達成感を感じることでしょう。

さらに施工管理は将来性のある仕事です。

なぜなら

・働き方改革を推進している
・年収アップが期待できる
・AIに代替できない
・国の投資額が増えている

こういった理由があります。

働き方改革を推進している

建設業界は10年後にベテランらの大量退職が見込まれており、建設業の持続が危ぶまれている状況。

そんななか、若者達の建設業に対する興味や関心が低く、人手が足りない状況です。

こういった問題に国は危機意識をもち、「建設業働き方改革加速プログラム」を策定したり、人材確保や育成に向けて助成金による支援をしたりと働き方改革の実現に積極的に取組んでいます。

つまり、働く人を増やさないとやばいと思っているんですね。そして、今現在建設業で働く人に辞められてもらっては困るということ。

ですから今後は、人材確保のために残業が減ったり給料があがったりする可能性が高いともいえます。

年収アップが期待できる

建設業界は今後、年収アップに期待できるでしょう。その理由は、具体的数値をデータで公表しないと人手が集まらないからです。

若者に人気がない理由は、仕事内容の割りに給料が高くないこともあると思います。

ですから人手不足解消に向けて建設業界全体の賃金アップが予想できるでしょう。

そして建設業界の中でも専門スキルを必要とする施工管理はさらに価値が高いといえます。

ですから就職や転職するにも好条件で働けるチャンスですので、企業は慎重に選んだ方がいいでしょう。

AIに代替できない

今はChatGPTなどのAI技術の普及により、さまざまな仕事が影響を受けると予想されています。

しかし、建設業界の仕事はAIの影響を受けにくい仕事といえるでしょう。

理由は、お客様のニーズに対応するには人間的な関わりが重要だからです。

具体的には、現場でトラブルに対処するためには、長年の経験による判断力や知識が重要。また、施工管理者は、多くの関係者とのコミュニケーションを行う必要があるのでAIでは難しいでしょう。

技術の進歩により、奪われてしまう仕事もある中、人間の力を必要とする施工管理は将来性のある仕事といえますね。

国の投資額が増えている

施工管理が将来性のある仕事だということは、上述のAIの影響を受けにくいことからわかります。

さらに、国の建設投資額が年々増えていっていることも将来性がある理由の1つ。

出典:国土交通省「令和4年度(2022年度) 建設投資見通し 概要

施工管理が意外と楽に感じる瞬間

施工管理はきつい仕事ですが、意外と楽に感じることもあります。

私が施工管理をしていて意外と楽だなと感じた理由は3つ。

  • 協力会社が優秀
  • 過去に経験した工事も多い
  • 意外と暇な時期もある

順番に解説します。

協力会社が優秀

施工管理は現場の指揮をとりますが、作業中すべてに目を向けられるわけではありません。

そのため、視界に入っていない作業員の行動が把握できなく不安に感じる場面があります。。

しかし優秀な協力会社は、仕事のスキル面だけでなく安全面にも注意して作業しているので、施工管理者の不安な気持ちを軽減してくれます。

また、細かい資材などは協力会社で準備してくれる会社もあるので、デスクワークの時間も減らすことができますよ。

こういったことから、優秀な協力会社と仕事をすると施工管理って意外と楽だなと感じました。

過去に経験した工事も多い

施工管理を長年やっていると、過去に経験した工事も多いです。

たとえばですが、私は電気の施工管理でしたので、屋外の場合なら電柱建ててケーブル引っ張って支線をとってとかですね。

屋内でしたら、ケーブル引っ張ってコンセントやスイッチ、照明器具の設置など。

また、経験が長くなるにつれ、現場調査したときに、何日くらい必要だなとかがある程度予想できます

そうなれば工程表も質のいいものが出来上がるし、最終的に利益率の高い仕事ができるでしょう。

似たような工事なら、資材も過去の実績からひろってこれますし、デスクワークの時間も減らせます。

以上のことから、一度経験してしまえば似たような工事も多く、不安なことが減るため意外と楽だなと感じました。

意外と暇な時期もある

施工管理ってずっと忙しいイメージないですか?

正直そんなことないですよ。私の以前の会社の場合ですが、暇な時期だってあります。

中にはずっと忙しいところもありそうですが。。

具体的には4月~5月あたりは暇ですね。一方で、年度末(12月~3月)は忙しいです。

発注者側の予算の都合だとは思いますが、毎年こんな感じです。

業界として、仕事を平準化するのも課題といえますね。

施工管理に向いてない人の特徴

施工管理に向いてない人の特徴は、真面目すぎる人と、いい加減な人です。

1つのことに悩みすぎてしまう方、一方で何事も適当な方。両者に近い方は施工管理には向いてないと思います。

下記の記事に詳しく書いているので、よかったらみてください。

施工管理に向いている人の特徴

施工管理に向いている人の特徴は、臨機応変に対応できる柔軟な人です。

なぜなら、工事現場で作業を進めていく途中で、想定外な問題が発生する場合があるからです。

たとえば、材料の納品遅れや機器の誤操作、近隣からの騒音苦情などもあるでしょう。

こういった場合に、状況に応じての冷静な判断力や決断できる行動力が重要です。

人を束ねられる人、責任感が強い人、感情的にならない人が施工管理に向いているといえます。

施工管理で働くうえでのリスクや注意点

施工管理は重大な責任が伴う仕事だからこそ、注意点も多いです。

  • 死傷事故につながるおそれがある
  • 法令違反に注意
  • 周囲環境に注意
  • 協力会社に偉そうな態度をとらない&仲良くもならない方がいい

以上のことがポイントとしてあげられます。

①死傷事故につながるおそれがある

建設現場はちょっとした気の緩みで命に関わる大事故につながることもあります。

そのため施工管理者は、作業員に安全行動をするよう指示して守らせる必要があります。

たとえば、点呼時に1人ひとりに『私は〇〇しません』など、不安全行動しないことを宣言させたりですね。

こういったことをする理由は、責任ある行動の意識づけと事故が起きたときに施工管理者の逃げ道を作ることが理由です。

そのため、事故が起きないよう最善をつくし、1人ひとりに安全意識を向上させましょう。

②法令違反に注意

施工管理者は、建設業の法令違反(コンプライアンス違反)になるものを知っておくべきです。

なぜなら、法令違反が明るみになれば、会社の信用はなくなるし、さまざまな不利益があるからです。

たとえば工事現場で発生したゴミは、一般のゴミとは違います。大きく分けて工事現場で発生したゴミを「産業廃棄物」、日常生活で発生したゴミは「一般廃棄物」のように区別されています。

また、有毒性のあるものは「特別管理産業廃棄物」「特別管理一般廃棄物」のように詳細に分かれ、扱い方や処分の仕方も注意しなければなりません。

品質面においては、施工標準や技術基準に則って施工する必要があります。また、使用する材料も規格や基準に適合しているものを使用しなければなりません。

こういったことを理解していないと、正しいことなのか間違ったことなのかさえ判断できませんよね。

以上のことから、施工管理者は専門スキルに加え、幅広い知識が必要です。

③周囲環境に注意

工事を受注したら発注者と現場調査をしますが、そこで現場の周囲環境をよくみておきましょう。

  • 交通量はどうか
  • 周囲に電線などはないか
  • 近隣住宅の有無

こういったことは、事故のリスクを軽減するにも重要なこと。

経験が浅いと仕事内容ばかりが気がかりとなってしまい、安全面が疎かになりがちですので注意が必要です。

そして具体的に安全に作業できるように行動します。

上記の3つであれば

  • 道路使用許可をとって通行止めにする手続き
  • 電線があれば電気会社に防護してもらう
  • 近隣住宅が有れば工事のお知らせのビラを配布する

などですね。

安全に作業するには周囲の環境づくりからですので、1つずつ対策していきましょう。

④協力会社に偉そうな態度をとらない&仲良くもならない方がいい

施工管理の仕事は協力会社とチームとなって仕事を進めていきます。

指示や指揮をする施工管理者は、立場から偉そうな態度になってしまうこともあるでしょう。

しかし度を越した態度の施工管理者は、協力会社から間違いなく嫌われます。嫌われれば、いざとなったときに守ってくれないし、お互い気持ちよく接することもできないでしょう。

とはいうものの、距離が近すぎるのもいけません。その理由は、距離が近すぎると協力会社は手を抜いても大丈夫だ、と感じ丁寧な仕事ができなくなるからです。

また、緊張感が薄れて事故につながる可能性も高くなるといえます。

いい仕事をするには、協力会社といい距離感で接することが重要です。

施工管理を辞めてよかった理由

私は16年間施工管理の仕事をしておりましたが、モチベーションの低下と不向きの理由で施工管理からフリーランスになりました。

辞めてよかった理由は下記の5つです。

  • ストレスから解放された
  • 体調がよくなった
  • 自分のやりたいことができる
  • モチベーションがあがった
  • 新しいことに挑戦できる

以下の記事で詳しく解説しているので、よかったらご覧ください。

施工管理のおすすめ転職方法

施工管理の転職には、特化型エージェントを利用した方がいいでしょう。

なぜなら、建設業界に精通したアドバイザーが徹底サポートしてくれるからです。

また、リクルートエージェント|転職支援実績No.1も求人案件が豊富なので、登録しておいて損はないかと。

まとめ

今回は、施工管理はやめとけと言われる理由から将来性や魅力、注意点、リスクなど幅広く解説しました。

施工管理はやめとけと言われる理由は

  • 長時間労働で残業も多い
  • 休日出勤する場合がある
  • 仕事内容と給料が割に合わない
  • 労働環境がきつい

ことが考えられます。

しかし将来性や魅力もあり、施工管理の働き方が合う人は非常にやりがいを感じる仕事です。

また、国も人材を増やすべく働き方を見直す政策を取り入れているため、今後需要が拡大する業界といえます。

施工管理の仕事は状況に応じた判断力や決断力、チームを1つにまとめるリーダーシップなどさまざまな能力が必要です。

ですが、やりがいはありますし達成感を感じる仕事であることは間違いありません。

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