施工管理は将来的になくなる?
AI(人口知能)の影響をうけるのだろうか?
こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 施工管理の仕事は将来的になくなるのか?
- 人手不足による施工管理の影響
- 施工管理は今後も需要がある?
- 今後の施工管理に求められるスキル
この記事を書く私は、施工管理歴16年で現在はフリーランスとして活動中です。
近年は、最新のテクノロジーにより、自動化やAIがさまざまな業界で普及しています。
建設業界もAIやドローン、ロボットなどの最新技術を使用することで、作業の安全性や効率化、品質向上につながります。
この記事では、建設業界における人間の役割について深く掘り下げ、施工管理の自動化の可能性と限界についてをわかりやすく解説していきます。
また、建設業界が直面する高齢化や人手不足の問題、施工管理の需要についても解説していきますので、ぜひ最後まで記事をみてくださいね。
施工管理の仕事は将来的になくなるのか?
結論、施工管理の仕事が将来的になくなるとは考えにくいでしょう。
その理由は
- 自動化が難しい
- 専門的な知識が必要
- 今後も需要が拡大していく
からです。
自動化が難しい
現場では人間の直感や経験で意思決定することも多く、現在のAIの学習アルゴリズムやデータ収集能力ではこれらの判断は難しいでしょう。
日本の建設業界では、施工管理の仕事についてのAI導入例は限定的で、主に現場での労働力を補う目的で使われています。
たとえば、ドローンによる設備監視や、AIによる安全パトロールなどですね。
専門的な知識が必要で、人間の直感や経験に頼る部分も多い施工管理の仕事は、現在の技術ではAIによる自動化が難しいと考えられます。
また、施工管理の現場では、計画通りに工事が進まない事態が頻発します。
天候や人手不足、材料の遅延など予期せぬ問題もあり、これらはプログラムされたAIが対応できないでしょう。
以上のことから、施工管理の仕事は予測不能な事態への対応が求められるため、これらを自動化することは現状では困難です。
専門的な知識が必要
施工管理の仕事はさまざまな専門知識を必要とします。
たとえば、細かい材料などは現場に応じて選定する必要があり、これらは経験した人でなければ対応できないでしょう。
また、建設業界は材料や工具を専門用語で呼ぶこともあり、これらすべてをAIが習得することは現在の技術では困難です。
今後も需要が拡大していく
施工管理の仕事は、今後も高い需要が予想されます。
なぜなら、国の建設業界の投資額が増加傾向にあるからです。
また、人材確保に向けて働き方の見直しを促している点も理由の1つ。
出典:国土交通省「令和4年度(2022年度) 建設投資見通し 概要」
日本の建設業界は人手不足が深刻で、施工管理も担い手が少ないです。
しかし、これは施工管理の需要があるからこそ起きている問題であり、需要がなければ人手不足も起こらないでしょう。
需要がある根拠は有効求人倍率からも読み取れます。
有効求人倍率とは、仕事を探している人に対してどれだけの求人があるかを算出したものです。
たとえば、1人が仕事を探しているとして、5社の求人があれば有効求人倍率は5倍となります。
有効求人倍率のデータは毎月厚生労働省が発表しています。このデータを元に2022年10月から2023年3月までの建設業の有効求人倍率(パート除く)の表を作成しました。
2023年3月のデータでは、全職業合計が1.24倍に対して建設躯体工事で10.68倍、土木で6.40倍、建設で5.07倍、電気工事で3.49倍です。
このデータからも建設業の需要が高いことがわかります。
以上のことから、施工管理の仕事が将来的になくなるとは考えにくいです。
特に、専門的な知識の必要性、自動化の難しさ、今後の需要を考慮すると、より貴重な人材といえるでしょう。
しかし、建設業界の人手不足の問題は深刻で、どうしたら解決するのか真剣に考えていかなければなりません。
人手不足を解消するにはイメージアップが重要
人手不足の解消には建設業のイメージアップと待遇の改善が重要だと思います。
建設業のあまり好まれない傾向を指す言葉で3k(きつい、きたない、きけん)があります。
この「3K」のイメージが、若者に好まれない原因ともいえるでしょう。
また、仕事に対して給料が見合っていないと言われることもあり、人手不足を解消するにはイメージアップと待遇をよくすることが重要です。
建設業のイメージアップを図る
建設業のイメージアップは、新たな人材確保につながります。
建設業は、過酷な労働環境や休日が少ないなど、悪いイメージをもたれることが多いですよね。
仕事の中身まで深く調べず「建設業=悪いイメージ」だから、辞めておこうという人もいるのではないかと。
しかし実際には、社会貢献性が高い仕事でやりがいを感じやすい仕事ですので、建設業の働き方が合っている人もいます。
2024年4月からは労働基準法改正により、建設業界にも労働時間の上限規制が設けられます。
そのため、企業側も労働環境の改善に向けて具体的に対策する必要があるので、今までの働き方とは変わってくることが予想されます。
こうした魅力をしっかりとアピールし、イメージアップを図ることで新たな労働力を引きつけることが重要といえます。
待遇をよくする
待遇を改善することも人手不足解消のために有効です。
建設業は厳しい労働が求められることから、待遇の改善は人手不足解消に向けた重要なステップです。
いい待遇は従業員のモチベーションを上げるだけでなく、新たな人材を引きつけるための手段にもなります。
企業の中には、労働環境を改善したり、福利厚生を充実させたり、賃金を上げたりして人手不足の解消に取り組んでいるところもあります。
こういった取組が建設業界のイメージアップにつながるので、企業は積極的に推進してもらいたいですね。
今後の施工管理の需要について
今後の施工管理の需要はどうなるか気になる方も多いと思います。
結論、施工管理の需要は継続的にあるといえますね。
その理由を高齢化と人手不足、インフラ需要の関係から解説します。
高齢化と人手不足
高齢化と人手不足で施工管理の需要が高まるともいえます。
建設業界の労働者も高齢化が問題で働く3割以上が55歳以上です。
出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」
10年後にはベテランの大量退職が見込まれ、経験豊富な施工管理の需要がより高まるでしょう。
高齢化による労働力の減少は、施工管理業務をより専門性が高いものに変化させ、その結果、専門的な施工管理の需要が増えていくと予測できます。
インフラ需要
施工管理の仕事は、需要があり続ける理由にインフラ需要が関係しています。
というのもガス、水道、電気などのインフラ設備がなくなると人々は生活ができないからです。
そしてインフラ設備の機能を維持していくためには、専門的な知識を要する施工管理者が必要不可欠。
つまり、施工管理者がいないと人々の生活に影響がでるというわけです。
また、日本では地震などの自然災害が頻発しており、そのたびに復興工事が必要となります。これらの工事にも施工管理の専門家が必要です。
経済状況で建設工事への投資にブレはありますが、長期的に見ても施工管理の需要は続くでしょう。
今後の施工管理に求められるスキルとは
今後の施工管理に求められる重要なスキルとして
- 最新技術の習得
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
があげられます。
最新技術の習得スキル
最新技術の知識を学び、これを活用することが今後の施工管理に求められます。
建設業界でもAIやIoT、ドローン、VRなどの最新技術の導入により、作業の効率化や安全性向上、コスト削減につながります。
たとえば、ドローンを使用して高所の設備確認をすることで人がわざわざ昇る手間がなくなりますよね。
つまり、最新技術を学び、適切に活用することで仕事の労力を軽くできるばかりか安全で効率もよくなるということですね。
コミュニケーション能力
自動化が難しい施工管理の仕事は、引き続き工事に関わる関係者と打ち合わせをしながら仕事を進めていきます。
また、現場ではチームのキャプテン的な存在のため、数十人~数百人といった人をまとめなければなりません。
こういった工事に関わる全ての人達に信頼されることが施工管理者の理想です。
施工管理をやるうえで今後もコミュニケーション能力は切り離すことができないスキルです。
マネジメント能力
マネジメントとは、簡単にいえば人をまとめてリスク管理をしながら目標達成することです。
まさに施工管理の仕事といえますね。
マネジメント能力を向上していくには、正直ある程度経験がないと難しいのではないかと思います。
なぜなら、施工管理の「工程管理」「原価管理」は経験が浅いとできないからです。
たとえば、工程表を作るにも経験したことがなければ予測すらたちません。予算書を作るにも材料がわからなければ作れません。
ですから、経験が浅いときは視野を広くもち、次は何をするだろう?何をしたら効率がいいだろう?と考えながら仕事を進めていきましょう。
そうすることで自然とマネジメント能力が向上していくと思います。
まとめ
今回は施工管理の将来性と需要についてを解説しました。
施工管理の仕事は
- 専門的な知識が必要
- 自動化が難しい
- 今後も需要が拡大していく
上記3つの理由により、なくてはならない仕事です。
しかし、人手不足が深刻な問題となっています。
また今後は最新技術を活用することで、効率性と安全性を高めコストを削減していくことが重要です。
Q&A
- 2024年4月からは労働基準法改正により、建設業界にも労働時間の上限規制が設けられますが、実際は表だけなんじゃないですか?
-
確かにサービス残業がなくならない会社もあるでしょう。
しかし、そのような会社は転職したほうがいいです。なぜなら、法律で定められた以上、会社は守らなければならないからですね。
また、労働時間の上限は建設業界全体でも大きなニュースなので、改善できない会社は周りの企業からも悪い印象をもたれます。
そのため、法律でこれ以上は禁止と決められることは大きく、建設業界全体を通しても働き方は改善していくことでしょう。